雨の日に

先日、新しい傘を買った。

近所の買い物などに使っていたビニール傘が壊れ、たまたま覗いた雑貨店でお手頃な傘を見つけたのだった。

今日は午後から雨の予報だったので、いそいそと新しい傘を手に仕事に出かけた。

 

仕事の帰り、何か所か寄るところがあった。

雨を楽しむにはほどよい、しとしと降りの中、新しい傘をさす。

人から見れば、傘をさしているただの人であるが、本人的にはおろしたての傘なのである。

なんとなく気分はふんわり、足取りも軽い。

 

歩きながら浮かんできたのは、今までの人生で出会ってきた傘たちのこと。

小2の時、叔母が買ってくれた赤い傘、フランス人っぽいおしゃれな男女のイラストがプリントされていた。

中3の時、自分で選んだリバティプリントの傘、大のお気に入りだったが、友人の誰一人として賛同してくれなかったっけ。

シンガポール旅行中、突然の雨で買ったのはパープルの折り畳み傘、たまたまTシャツもパープルだった私に、レジの若い店員さんが「セイムカラー!」とにっこり笑ってくれた。

名古屋に越してきてデパートでの最初の買い物は、ボタニカル柄のクリーム色の傘、ある学校の傘立てに預けていたら、帰りにはなくなっていた。

とても残念に思い、もしも出てきたらとっておいてもらえるよう頼んで帰った。

なんと後日連絡があり、傘立てに戻ってきているという。

しかも「持ち去って申し訳なかった」とのお詫びのお手紙が添えられていた。

傘にまつわる思い出はいくつもある。

 

うっかりが多い私であるが、傘を無くしたことはない。

いっとき無くしても不思議にいつも手元に戻ってくる。

 

新しい傘は軽くて持ちやすく、買い物中も苦にならなかった。

最後に本屋さんに寄ったら、今日のような日にピッタリの素敵な本と出会えた。

 

「雨音を聴きながら」 雨のアンソロジー  阿川佐和子 他  大和書房

古今の多彩な書き手たちによる「雨」がテーマの46篇のエッセイや小説を集めたもの。

帰りの電車のなかで早速ページを繰る。

雨の日もまた良いものです。

 


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