苺ジャムを作りながら

今年も苺ジャムを作った。

5月の苺は旬を過ぎたせいか、かためで酸味が強くなり、ジャム作りにいい。

いつものスーパーで小粒の苺がたくさん入ったパックをみつけ、いそいそと籠に入れた。

自家製の苺ジャムの風味や味わいは特別だと思う。

しかも他の果物のように、皮をむいだり切ったりの手間もなく簡単だ。

苺を洗ってヘタをとり、グラニュー糖とレモン汁を加えてコトコト煮るだけ。

苺400gとしたら、グラニュー糖は約40%の160gくらいとレモン汁1/3個分。

苺ソースとしても楽しみたいので、グラニュー糖はやや少なめで、果肉はつぶさないレシピ。

材料をすべて鍋に入れ、中火にかけて沸騰したらアクをすくい、あとは弱火で焦げつかないよう時々かき混ぜながら20分コトコト煮る。

これで苺ジャムの出来上がり!

ルビー色のソースに、丸ごと苺がごろごろ浮かぶ極上ののジャムだ。

いちごジャムを作りながら思い出すのは、小学校のクラスメイトNちゃんの作文。

転校してきて間もない彼女は、お母さんと苺ジャムを作った様子を、作文の授業で読み上げた。

「やがて、ぷーんとイチゴの甘い香りがお部屋いっぱいに広がりました。」

何てこともないこの一文に当時の私はひきつけられた。

我が家にはないおしゃれなキッチンと、母娘の優雅なひとときが目に浮かんだ。

イチゴの甘い香りとともに、当時の田舎には珍しい、洋風文化の垢ぬけた香りをかいだのではなかったか。

その頃うちでジャム作りといえば、母と祖母が出荷の規格に合わないイチジクを大鍋で大量に煮ることだった。

そのプロセスにおしゃれな要素などみじんもなく、ただ捨てるにはもったいないという理由で、ぼこぼこと音をたてながら煮られるイチジク。

当時はイチジク自体がさして好きでもないし、ましてや見栄えの残念なジャムに魅力を感じなかった。

そんな私が、Nちゃんの作文に感化され、「苺ジャム」はあこがれとなった。

今ではこの時期、苺ジャム作りが恒例となっている。

出来上がった苺ジャムは3つの瓶に詰めて冷蔵庫に保存。

ヨーグルトやトーストに添えたり、ついついそのまま食べたり……

この調子だとあっというまに無くなるだろう。

ま、好きなものは物足りないくらいがちょうどいいのかな。