京都の嵯峨野、小倉池のほとりを娘と歩いていた。
生き物好きの二人は、蓮の葉に覆われた水面に何かいないかと目を凝らす。
いるいる! シラサギ、カモ、鯉……
姿はみえないが、ブオッ ブオッというカエルの声も。
娘:「カエルって蓮の葉の上にいるイメージだけど、重みで蓮の葉が沈まないのかな?」
私:「アマガエルとかトノサマガエルとか、小さいカエルだけが乗れるんじゃない?」
そのとき、ひときわ大きなブオッ、ブオッ、ブオッ…
声を頼りに探してみると、一枚の蓮の葉の上に大きなウシガエル。
「オレ様だって乗れるんだからなっ!」
とでも言いたげな顔だけど、体の2/3は蓮の葉ごと水中に沈んでますよ。

生き物を見つけると、つい足を止めてしまう。
蓮の花の季節には早い殺風景な池の柵につかまり、気づけば30分もたっていた。
おかげで嵯峨野散策はミニコースとなり、かろうじて二尊院のみ拝観する。
トロッコ列車にも初めて乗った。
保津川を見下ろしながら進む列車の車窓に、新緑が広がる。
「あっ、猿だ」娘が木立の中に野生の猿をみつけた。
地面で遊ぶ子猿。傍らのの高い樹上には親らしい猿。
一瞬の出会いだった。

下賀茂神社近くの和食屋さんの中庭には、メジロとヒヨドリが遊びに来ていて、彼らを眺めながら初夏の昼下がりを過ごした。
周りに生き物がいて、命の気配を感じていられる。
なんて素敵なことだろう。
そういえば先日、深夜の住宅街をトコトコとアライグマが歩いていた。
人間の勝手で異国に連れてこられ、今では害獣とされる彼ら。
ウシガエルだって望んでもいないのに異国に連れてこられ、今では外来生物として疎まれる。
彼らが悪いわけではない。
命ある限り、ただ生きているだけだ。
鳥もカエルも人も、みんな一緒に生きている。

